よくある質問FAQ
人間ドック・検診について
「検診」は、特定の臓器の検査を目的とするものですが、「健診」と「ドック」については、全身的な検査であれば、項目数が多いか少ないか程度の違いであり、現代的には、明確な線引きはないと思われます。
まず、「検診」は、「胃がん検診」「乳がん検診」などと特定の臓器を検査するときに使われるもので、多くの場合「がん」発見を目的とするものです。
となれば「健診」と「ドック」については、特定の臓器でない(全身的な)検査であることになりますが、「健診」も「ドック」も、いくつかの「検診」を含む場合があり、通常「健診」「ドック」のほうが、「検診」よりも広い概念だと考えてよいと思われます。
「健診」と「ドック」の違いは、もっぱら検査数が多いものが「ドック」、少ないものが「健診」という程度であり、現代的には、明確な線引きはないと思われます。
少ない検査項目でも「ミニ・ドック」と名づけているものも見かけますし、「健診」といえども「ドック」並みの内容をお受けになる受診者様もいらっしゃいますが、受診「当日」に採血結果など検査結果の一部が受診者に知らされて、
生活運動指導を受けられる(当日結果説明)ものが人間ドックであるとする意見もあります。
ただ、「健診」については、法律などによって広く規定されているものも多く、その代表が「特定健診」「労働安全衛生法等に規定される健診(いわゆる、職場健診)」といったものです。
また、「ドック」の用語は、もともと大型船舶の「ドック」から来たもので、定期的にドックに入り全体をくまなくチェックして、場合によっては修理して、また仕事(海)に出ていくというイメージがあります。
さらに歴史的には、「ドック」は数日かかる(1週間かかっていたこともあるそうです)ものが多かったともいえます。
現代的には、社会情勢の変化や、検査方法の飛躍的進歩などにより早く検査できるようになったこと等もあり、
数日かかるドックというのも、あまり好まれなくなりましたが、歴史的経緯を考えると「ドック」は数日入院していたというイメージがあります。
平成20年4月より実施されている、内臓脂肪型肥満(いわゆる「メタボ体型」)に着目した生活習慣病健診です。
40歳以上74歳までの国民に対して、医療保険者(健保組合など)が主体となって実施するように法律で決められています。
平成20年4月より「高齢者の医療の確保に関する法律」(以下、単に「法」)に基づいて、医療保険者(健康保険組合、国民健康保険など)が主体となって、「当該年度の四月一日における加入者であって、当該年度において四十歳以上七十五歳以下の年齢に達する」国民に対して、
内臓脂肪に注目した生活習慣病の健診が実施されることとなりました(法第20条、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準第1条第1項、高齢者の医療の確保に関する法律施行令第1条)。
その内容は、「高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣病であって、内臓脂肪(腹腔内の腸間膜、大網等に存在する脂肪細胞内に貯蔵された脂肪をいう。)の蓄積に起因するもの」(高齢者の医療の確保に関する法律施行令第1条)が規定されていますが、
健保組合や市町村(国民健康保険)によっては、内容を追加して実施しているところも多いかと思われます。
なお、内容が生活習慣病に限られているため、がん検診などは別途受診しておくことがおすすめです。
労働安全衛生法第66条と労働安全衛生法規則第43条、44条により、事業所は従業員を雇い入れるときと、その後1年以内ごとに1回、定期的に一般の健康診断を実施しなければいけない事になっておりますこれが「定期健康診断(事業主健診)」とよばれるものです。
受診前の注意点
普段の生活状況を検査したほうがよいと思いますので、特別なことはしないほうがよいと思います。
お気持ちはわかるのですが、ドック健診の結果で、悪い結果を見たくないというために、ドック健診の直前に急に節制される方もいらっしゃるようですが、そのときだけよくても、普段がよくなければドック健診をうける意義が薄くなります。
また、逆に、ドック健診の前には普段やっていないような量のお酒を飲んだり、たくさんの食事を食べたり、強い運動をしたりということも避けておいていただいたほうがよいと思います。
普段から健康にはご留意いただいて、普段どおりドック健診をお受けいただくようにお願いします。
まずは、正直に朝食を食べてしまったことを健診センターまでご連絡ください。どのような手立てがあるかをご相談します。
残念ながら、間違って朝食を食べてしまった場合、食べた量や時間にもよりますが、多くの場合、胃の検査(バリウム・胃カメラ)や、腹部超音波検査、採血検査などは実施できなくなります。
だからといって、食べてしまったことを隠していても、検査をすればわかってしまったり、異常な数字がでたりして、無駄な検査をすることになってしまいますので、無用な被曝や手間を避けるためにも、正直に、食べたことをご申告してください。
なお、食べてしまった場合でも、検査内容によっては、全ての検査ができるという場合もありますが、多くの場合には、一部を別の日に実施するか、全てを別の日に振り替えるという対処になるかと思われます。
お薬をもらっている主治医に、ドックで予定している検査内容をお伝えいただいて、指示をもらってください。
薬の内容によってはドック健診の結果に影響を及ぼす場合があります。ただ、勝手に服用を止めると、思わぬ副作用を引き起こす場合もあるため、ご病状との兼ね合いを主治医にご相談いただくのが最善と考えます。
特に糖尿病のお薬を飲まれている(インスリンを使われている)場合には、副作用(低血糖など)を防ぐため、前日と当日の服用(使用)について、主治医に必ずご相談ください。
さらに、血をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を飲まれていて、胃カメラをお受けになる予定の方は、前もってお届けする「上部消化管内視鏡検査の説明と同意・検査申込書」をよく読んでいただき、必要に応じて主治医へのご相談をお勧めします。
いずれにしても、当日はお薬手帳など、飲んでいるお薬がわかるものをお持ちいただくようにお願いいたします。
その症状に応じた適切な検査をお受けになることが重要ですので、まずは通常の外来受診をお勧めします。
ドック健診は、症状が無いところで、なにか悪いことがないかを調べるのが基本です。また、検査内容もドック健診の目的が「浅く広く」調べて見つけ出す(「スクリーニング」といいます)ところにあるので、特定の症状の検査には、ドック健診だけでは足りない場合も多いと考えます。
ですので、なんらかの症状がある場合には、最初からその症状に応じた検査内容や検査法を選択したほうがよい場合が多く、ドック健診を受けてからでは、二度手間になり時間がかかるだけでなく、費用的にも高くつくことも多くなります。
また、適切な検査にならなければ、肝心の原因が発見されない場合もあります。
以上のことより、症状がある場合には、先に通常の外来受診をお勧めします。なお、すでに外来を受診されている方の、ドック健診受診は、通常、問題ありません。
予約の段階でわかれば、生理の日を避けてください。(乳がん検診もある方は、生理終了の数日後がベストです)
重なってしまった場合、可能でしたら生理後に変更してください。
どうしても変更できない場合には、一部の検査を後日にするなどご相談ください。
生理の日については、子宮がん検診関係、尿検査、便潜血検査などが事実上実施できません。特に、尿潜血検査については、生理中に潜血陽性の場合には、判定不能となり、再検査のお勧めとなります。
よって、可能であれば予約の段階で、生理終了の数日後をおとりください。なお、乳がん検診も同時に受診予定の方は、生理が終了して数日後というのがベストです。
もし、生理と重なってしまった場合には、可能でしたら日程変更をご相談ください。ただし、繁忙期には、変更できない場合もありますので、ご了承ください。
どうしてもその日に受診しなければならない場合にはご相談いたしますので、健診センターまで当日おいでいただいてからでもかまいませんので、お伝えください。検査内容ややり方についてご相談いたします。
胃の検査について
下記詳細をご覧ください。
2016年2月4日付の厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(健発0204第13号)において、胃がん検診としては、
1.胃内視鏡検査(胃カメラ)は、50歳以上で2年に1回
2.胃エックス線検査(バリウム)は、40歳以上で毎年でもよい
と、されました。
どちらも受けられる年代であれば、基本的にはご希望で選んでいただければよいと考えますが、ピロリ菌除菌後の方や胃手術後の方は胃カメラでの経過観察をお勧めします。
あえてどちらかを選ぶ理由を挙げるとすれば、以下のとおりと考えます。また、どちらでもお受けになることに支障の無い方は、バリウムと胃カメラを年毎に組み合わせてお受けになるというのもよいかと考えます。
A.どちらかというと「胃カメラ」がお勧めの方
1.ピロリ菌除菌後の方(推奨)
2.胃の手術をしたことがある方(推奨)
3.胃に以前症状が出ていた方。現在症状がでている方は外来受診をお勧めします
(胃炎や逆流性食道炎などは通常、胃カメラのほうがわかりやすいから)
4.バリウム検査をすると毎回のように「要精査」と判定されてしまう方
5.バリウム検査実施に安全上の支障があるとされる方
便秘が強い(いつも3日以上になる)、バリウムアレルギー、
痛みやふらつきで検査台の上で体位保持や変換に支障がある、
お耳が遠いなどで技師の指示が聞き取りとりづらい、
食事中や飲物を飲んでいるときによくむせる、過体重(130kg以上)、
バリウム検査直後に気分不快になったことがある、
バリウム検査自体がどうしても苦手であるなど
6.過去2か月以内に大腸ポリープの切除を受けた方
7.以前に消化管(腸管)閉塞(捻転)になったことがある方
8.胃以外の消化管(腸・肝臓・胆管・胆嚢・膵臓)の手術後の方
9.過去1年以内に、お腹の中の手術をしたり、整形外科的な手術をうけたりした方
B.どちらかというと「バリウム検査」がお勧めの方
1.胃に特に症状がない方(何年かに一度は胃カメラもお勧めします)
2.1年前くらいに胃カメラで「特に問題は無いですよ」といわれた方
3.胃カメラがどうしても苦手な方
一般的にはそのようですが、一概にはいいきれません。
一般的には、「鼻から」のほうが楽なようですが、鼻のとおりが狭い方などは、鼻がとても痛かったり、鼻血が出たり、そもそもカメラが中に入らない場合もあり、検査途中で「口から」に変更される場合もあります。
両方お受けになった経験のある方にお聞きしても、「口からのほうが楽だった」とされる方も、ときどきいらっしゃいます。
ですので、「鼻から」の検査を一度はお試しいただくとしても、「口からのほうが楽だった」場合や、「口からしかできない」方については、その後は「口から」でお受けになるようにお勧めします。
乳がん・子宮がん検診について
子宮頚がん検診については、性経験のある方は20歳頃から、子宮体がん検診については、基本的には40代くらいからですが、リスクによりますので婦人科医とご相談ください。
乳がん検診については、20歳頃から乳房超音波検査を、40歳頃からマンモグラフィと乳房超音波検査の併用をお勧めします。
子宮がん検診については、「子宮頚がん検査と子宮体がん検査の違いはなんですか?」をご参照ください。
乳がん検診については、「マンモグラフィと乳房超音波検査はどちらを受けたらよい?視触診は必要?」をご参照ください。
検診でなく、直ちに乳腺外科外来をお受けください。
症状が続いている場合のドック健診と同様に、スクリーニングとしての乳がん検診と、「しこり」(症状)を調べるための外来での検査とは、手順や方法、検査数に違いがある場合があります。
通常の乳がん検診では、超音波検査かマンモグラフィのどちらかしか行いません。しかし、しこり(症状)を自覚される場合には、若年者を含めた年代に関係なく、マンモグラフィと乳房超音波検査の両方をやるのが通常です。
また、場合によってはMRI検査や、細胞診といった検査が追加される場合もあります。そのようにして、その「しこり」について、詳しく調べていく必要があるからです。
どうしても検診でお受けになる場合には、医師にその「しこり」についてお伝えいただくとともに、その後(検診以外)の検査方法などにいてもご相談ください。
子宮頚がん検診は、子宮の入り口を大きな綿棒でこすって取れた細胞を調べる検診
子宮体がん検診は、子宮の内部まで細く小さいブラシを入れて細胞を取ってきて調べる検診
子宮頚がん検診は、子宮の入り口を、大きな綿棒でこすって取れた細胞を調べる方法です。性経験のある方は、20歳頃からお勧めします。性経験のない方については、子宮頚がんのリスクは低いのですが、検診については個別にご相談いただくのがよいかと思われます。
子宮体がん検診は、子宮の内部まで、細く小さいブラシを入れて細胞を取ってきて調べる方法での検診です。基本的には40歳頃以降での受診をお勧めしますが、子宮体がんのリスクは、肥満や糖尿病などの方で高くなります。
また、不正出血のある方は検査されることをお勧めします。なお、体がん検診は「痛さ」を伴う場合も多く、検査後しばらく出血が続くこともありますので、実際の受診に際しては、婦人科医とご相談ください。
40歳頃までの方は、乳房超音波検査をお勧めします。
40歳以上の方については、できれば両方をお勧めします。
なお、症状(しこり、異常乳汁分泌、乳頭の異常)がある方は、検診でなく乳腺外科外来を受診してください。
2016年2月4日付の厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(健発0203第13号)において、
乳がん検診の推奨モダリティ(機器)と年齢、間隔は、「40歳以上でマンモグラフィを2年に1回」と、され視触診は「推奨しない」とされました。
また、国立がん研究センターが2014年3月31日付で発表した有効性評価に基づく乳癌検診ガイドライン2013年度版においては、
1. マンモグラフィ単独法(40~74歳):推奨
2. マンモグラフィと視触診の併用法(40~64歳):推奨
とされ、「65~74歳には、マンモグラフィ単独検診を対策型検診として推奨します。」と記載されています。
以上より、マンモグラフィについては、40歳以上で2年に1回程度の受診をお勧めします。なお,血縁の方に乳がんがいらっしゃるなどの乳がんハイリスクとされる方で、40歳未満でのマンモグラフィ検診をご希望される場合には、個別にご相談をお受けいたします。
乳がん検診においての乳房超音波検査については、最終的な推奨はいまだ定まっていませんが、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインにおいて、一般診療での乳房超音波検査については、
「マンモグラフィ、触診で異常を検出できない患者に対して、超音波検査は勧められる。」として推奨されています。
また、近年、東北大学の大内教授を中心とした研究グループによる大規模研究(J-START)では,40歳代においてマンモグラフィに加え、乳房超音波検査を実施することでの早期乳がん発見への有効性が発表されています。
よって、乳房超音波検査については、マンモグラフィが推奨されていない30代まではもとより、40歳以上でもマンモグラフィと乳房超音波検査は、そもそも発見されるものが違うところがあり、双方を補い合うような面がありますので、出来れば両方での検診がお勧めです。
場合によってはマンモグラフィと乳房超音波検査をそれぞれ交互に隔年でお受けになることも、よい方法かと思われます。
また、健診ではなく一般診療(普通の外来)に、症状(しこりを自覚、異常乳汁分泌、乳頭異常など)をお持ちでおいでになる場合には、詳しい診断のために必要となりますので、年齢に関係なくマンモグラフィと乳房超音波検査の両方を最初から実施するのが通常です。
「子宮がん検診」はお受けになれません。可能でしたら検査日を生理終了後へ変更してください。
どうしても変更が出来ない場合は健診センターへお問合せして下さい。
結果について
「D」判定(要精検や要医療)のことだけであれば、その内容を病医院にお伝えいただいて、直接、通常の受診をお勧めします。
なお、全般的なことであったり、生活習慣の改善についてご相談をご希望であったりする場合には、事後相談のお時間がありますので、健診センターまでご連絡ください。
病医院にご相談をお勧めする判定(「D」判定)のことだけであれば、その内容を病医院にお伝えいただいて、直接、通常の受診をお勧めします。
もちろん、健診センターまでご相談においでいただくことも可能ですが、多くの場合、再度、通常受診をご紹介することとなりますので、二度手間や精密検査までの遅延を避けるためには、直接の受診がお勧めです。
全般的なご相談(ドック健診受診後の全体的な方針について)や、生活習慣の改善などについてのご相談につきましては、事後相談のお時間がありますので、お問い合わせください。
健診センターでの基準値は、国が定めた特定健診の基準と、日本人間ドック学会が示した基準にほぼ準拠させ予防や早期発見に重点をおいた基準となっています。治療や経過観察を目的とした一般外来で利用する基準とは、違う点がありますので、ご了承ください。
健診センターでの基準値は、特定健診が開始されたときに定められた特定健診の基準と、日本人間ドック学会が示した基準にほぼ準拠させています(一部検査では、検査の特性上、施設の基準値を利用している場合があります)。 これらは予防や疾患の早期発見に重点をおいた基準であるため、治療や経過観察を目的とした一般外来で利用する基準とは、違う点があります。また、施設間でも検査機関の違い(検査方法の違い)などにより、基準値が違う場合もあります。詳しくは、下記リンク先をごらんください。
厚生労働省「特定健康診査の検査項目および検査値の意味」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-04-005.html
人間ドック学会「検査表のみかた」(html版)
http://www.ningen-dock.jp/public/method
人間ドック学会「検査表のみかた」(pdf版)
http://www.ningen-dock.jp/wp/common/data/public/method.pdf